【訪問看護からメディカルデザインエンジニアへ】吉岡純希さんインタビュー

今回インタビューをした看護師の吉岡純希さん。

病院看護師、訪問看護師の経験を経て現在はメディカルデザインエンジニアとして活躍しています。

現在の幅広い活動には訪問看護師時代の経験が活きていると言います。

そんな吉岡さんにこれまでの経験から現在の活動のこと、そして目指すものを語って頂きました!

吉岡純希 看護師 / Medical Design Engineer(慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 修士課程 / SFC研究所所員) 1989年、札幌市生まれ。集中治療室や在宅での看護師の臨床経験をもとに、テクノロジーの医療現場への応用に取り組む。2014年より病院でのデジタルアート「Digital Hospital Art」をスタートし、患者・医療スタッフとともに病院でのプロジェクションマッピングや、身体可動性に合わせたデジタルアートを制作・実施。また、慶應義塾大学にて看護と3Dプリンタに関する研究「FabNurseプロジェクト」に関わっている。

テクノロジーを医療分野で活用する吉岡さんの取り組み

外出できない子どもたちにもディズニーランドのようなワクワクを届けたいという思いがきっかけで、訪問看護師をする傍らプログラミングの勉強をし始めた

吉岡さんは大学卒業後は病院で看護師として勤務していたそうです。

ある日ディズニーランドに遊びに行った吉岡さんは、「このワクワクを外出できない小児病棟の子どもたちにも感じて欲しい」と思い、自分でプログラムを組んでプロジェクションマッピングを作ることを決意しました。

この時の体験がきっかけで、個人でのデジタルアートの活動を応援してくれる環境の訪問看護ステーションに転職をし、実際に小児科の入院患者のためにプロジェクションマッピングを用いた活動を継続することにしました。

テクノロジーの力で患者がよりよく生活できるように支えたい

こうした活動を経て、現在吉岡さんは慶應義塾大学の大学院で3Dプリンタなどのものづくりの技術の看護へ応用について研究をすすめたり、デジタルアートなどの先端技術を医療現場へ届ける橋渡しをしています。

テクノロジーを単なる娯楽で終わらせずに、看護師ならではの視点で捉えることで医学的な根拠のあるケアとして患者に届けようとしているそうです。

訪問看護の経験が現在に活きている

こうした様々な活動に取り組めている理由の一つに、訪問看護での経験が大きく影響しているそうです。

患者の生活を看て支えられる訪問看護

訪問看護師になって印象的だったことに、毎回の訪問でまとまった時間を患者と過ごせることがあると吉岡さんは言います。

患者の生活の場に訪れて実際の生活に触れることで、患者さんにとっての退院はゴールではなくその後長く続く生活の始まりであることが実感できたそうです。

そして患者が本当に困っていることは生活の中にあるのだと気付き、生活の中の課題はテクノロジーで解決できるのではないかという発想から現在の活動に繋がっているそうです。

患者を取り巻く人々と医療制度、そこにかかるコストを理解することの重要性

また訪問看護では、どの関係者がどのタイミングで関わることで療養環境が成り立っているのか、また患者がどの制度を通してどんなサービスを受けられるのかという全体像を把握することが特に大切だそうです。

そしてそれはスムーズな情報共有・連携に繋がり、患者の在宅生活がより良くなることに帰結します。

こうした医療現場特有の複雑な環境を知っていたからこそ、医療の分野では実はこんな活動ができるのではないかという新しい発想に繋がっているのだそうです。

終わりに

今回のインタビューでは、病院と訪問看護の両方を経験した吉岡さんならではの視点からお話を伺うことができました。

最後に吉岡さんに将来のことを伺ったところ、今取り組んでいるような新しいテクノロジーを使った活動もケアの一つであることが広く知られるようになって欲しいとお話してくださいました。

医療とその他の技術の橋渡しができるほど視野が広がる訪問看護に可能性を感じると共に、今後在宅医療が増えていく時代において、患者の生活の全体像を捉えて一人一人に合わせてきめ細やかに対応し支えることができる訪問看護師の能力はとても大切なのではないかと思いました。

シェア

ABOUTこの記事をかいた人

看護管理や広報、採用が好きな訪問看護師&緩和ケア認定看護師。 訪問看護の現場で働きつつ、取締役や個人事業主として経営支援や新規事業コンサルなどが仕事。いかに死ぬかより、いかに生きやすい社会を創ることに貢献できるかに興味。シェアリングエコノミ―やクラウドファンディングなど多様性を生むサービスが好き。